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世界の持続可能な観光地TOP100選で

評価された遠野遺産をめぐろう

世界の持続可能な観光地

TOP100選で評価された

遠野遺産をめぐろう

遠野遺産
Tono Heritage

遠野遺産とは?
What is Tono Heritage?

2024年10月、岩手県遠野市が「世界の持続可能な観光地トップ100選」に選出されました。なかでも評価されたのは「遠野遺産」です。遠野遺産は、神社や史跡、巨木、滝、石碑、さらには年中行事や郷土芸能といった、求心力をもった文化財を地域コミュニティが主体となって発見し、活用する取り組みです。

2007年に開始された「遠野遺産認定制度」の特長は、国や県が指定する指定文化財のようなトップダウンの進め方とは違って、地域コミュニティのボトムアップで進められる点にあります。遠野遺産は、住民が主導して文化遺産や自然遺産を保護・活用し、理解ある旅行者を惹きつける成功例だとして世界からも評価されました。

2024年までに認定された遠野遺産は169件、それらを現在も管理している団体は実に91団体。遠野遺産は、単なる文化財保護を超えて、地域コミュニティの活性化にも成功しているプロジェクトなのです。

遠野遺産の構成
Breakdown of Tono Heritage

遠野観光の定番コースとは一味違う旅を楽しみたい方へ、遠野遺産のモデルコースをご紹介します。遠野遺産をめぐれば、そこに住む人が大切にしてきた歴史や文化に触れ新たな発見の旅ができるでしょう。

有形
83
無形
33
自然
14
複合
39
合計169

モデルコース
Recommended Route

Route 01
遠野神話コース
『遠野物語』幕開けのエピソードとなる遠野三山の姫神伝説をめぐるコース。広大な遠野エリアをドライブでお楽しみください。お時間があれば荒川高原まであがって遠野の景色を上から眺めるのがお勧めです。
認定番号14
伊豆神社
認定番号 57
神遣神社
認定番号 54
石上神社
認定番号114
六角牛神社
認定番号 88
早池峰 古の登山道
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写真提供 遠野市立博物館

Route 02
城跡めぐりコース
中世の遠野を治めた阿曽沼氏が行った城替えを歩いて体験。猿ケ石川、早瀬川、来内川を超えて遠野盆地を山から山へ。阿曽沼氏の後に遠野を治めた南部氏の名君である女殿様・清心尼公の碑にも立ち寄りたい。
認定番号 96
横田城跡及び彼岸桜と山桜
認定番号 84
阿曽沼公歴代の碑
認定番号 86
清心尼公の碑
認定番号 77
加茂神社と御神木の桜
認定番号 63
鍋倉城跡
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Route 03
語り部を生み出した
山口散策コース
笛吹峠と堺木峠を通じて物と人が活発に往来した山口集落は、数々のひょうはくきり(語り部)を生み出した。ダンノハナとデンデラ野に両翼を包まれ、生と死がとなりあうミクロコスモスを味わいたい。
認定番号 9
山口の水車小屋
認定番号 58
山口の薬師堂
認定番号 65
ダンノハナと佐々木喜善墓地
認定番号 21
山口デンデラ野
認定番号 117
山口さんさ踊り
(祭りや催事の際に見ることが できます)
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Route 04
縁結びと鎮魂の
スピリチュアルコース
フォトジェニックで人気な遠野屈指の観光名所から、知る人ぞ知るスピリチュアルスポットまで。川から山までの高低差が、景色の変化も楽しませてくれるゴールデンコース。地域コミュニティが遠野遺産を丁寧に手入れしている様子も伺える。
認定番号 145
卯子酉神社
認定番号 158
長作堤防の記念碑とその周辺
認定番号 144
新里の愛宕神社
認定番号 162
五百羅漢
認定番号 146
程洞稲荷神社とその周辺
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コラム
Column

遠野遺産と
地域コミュニティの物語
The Story of Tono Heritage and the Local Community
2024年10月、岩手県遠野市が「世界の持続可能な観光地トップ100選」に選出されたというニュースは、多くの人々の関心を集めました。その評価の中心にあったのが、遠野市独自の取り組みである「遠野遺産認定制度」です。本制度は、文化財の保護にとどまらず、地域コミュニティの活性化をも成功させています。その背景には、遠野の人々が積み重ねてきた文化的資本がありました。
遠野遺産とは何か?
What is Tono Heritage?
遠野遺産は、遠野にある神社や史跡、巨木、滝、石碑、さらには年中行事や郷土芸能といった、地域のなかで求心力をもった文化財をコミュニティが主体となって発見し、活用することを推進する制度です。その数は2007年の制度開始から現在までに169件にのぼり、それらを現在も管理している団体は実に91団体にのぼります。遠野の人口が23,000人程度であることを考えると、この数字は非常に大きいものといえるでしょう。 この制度のユニークな点は、国や県が指定する指定文化財とは異なり、地域コミュニティの主体性を重視していることです。地域住民が自ら価値あるものを発見し、その保護・活用を推進する仕組みが整っています。この取り組みによって、文化財は単なる「過去の遺産」ではなく、地域の未来を築くための「きっかけ」ともなっているのです。
遠野遺産認定制度の発想
The idea behind the Tono Heritage Recognition System
市民の守るべき宝物(文化財)
地域コミュニティと遠野物語
The Local Community and The Legends of Tono
遠野遺産を支える地域コミュニティの強さの背景には、遠野の伝承が深く根付いています。その象徴的な存在が『遠野物語』(1910年, 柳田國男)です。遠野で語り継がれてきた説話が文学的・民俗学的価値をもった本としてまとめられたことで、遠野という地域のアイデンティティを形作るルーツとなりました。 遠野遺産には、かならずしも『遠野物語』に記された場所や出来事がそのまま認定されているわけではありません。むしろ、直接重なる遠野遺産のほうが少ないくらいです。しかし『遠野物語』の存在は、地域の宝を守り伝えるという意識を育んできた精神的な背景になっていおり、地域コミュニティに誇りを生み出すことにつながっています。
ボトムアップの取り組みが
生む力
The Power of Bottom-Up Initiatives
遠野遺産のもう一つの特長は、制度の運営が地域コミュニティによるボトムアップの動きから生まれている点です。制度自体は遠野市文化課が運営を担っていますが、地域コミュニティの活動予算は市民協働課によるものです。つまり、遠野遺産は、文化財保護の枠組みに加えて、地域コミュニティの活性化の枠組みで支えられてる制度なのです。 たとえば、巨木や滝といった自然の遺産を守る活動では、地域の人々が定期的に清掃活動を行ったり、観光客にガイドを務めたりしています。また、郷土芸能や伝統行事を保護する取り組みでは、地域の若い世代が積極的に参加しています。こうした活動を通じて、地域住民同士の交流が深まり、コミュニティ全体が活性化しています。
遠野遺産が示す未来
The Future of Tono Heritage
遠野遺産の取り組みは、地域の文化財を守りながら、それを未来へとつなげるモデルケースです。遠野を訪れた際には、ぜひ遠野遺産をめぐり、その背後にある地域コミュニティが大事にしてきた物語や活動に触れてみてください。それは単なる過去の遺産めぐりを超えた、文化を未来につないでいくきっかけ探しの体験となるでしょう。
文:佐々木大輔(遠野遺産認定調査委員)
持続可能な観光地に向けた
取り組みについては
遠野ふるさと商社(DMO)まで
お問い合わせください。
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