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遠野で味わう、女将の人生フルコース | Deん~隠れ家~の店主が語る料理への思い

遠野の夜を温かく彩る居酒屋「Deん~隠れ家~」。その店主を務める高宏美鈴さんは、なんと大阪府生まれ。生まれてすぐに父親の仕事の都合で遠野に移住。同時に母親は当時遠野のまちにはほとんどなかったパブをオープンしました。現在のDeん~隠れ家~と同じ敷地で、かなり広いパブでしたが、連日大盛況だったと言います。

しかし、遠野に移住して間もなく父親が亡くなり、母親は女手一つで子どもたちを育てることに。やがて店は、コストの削減できるスナックへとお店の形を変えました。

「子どものころから家に帰ると毎日どんちゃん騒ぎ。だって実家がスナックですからね。本当にうるさかった。」
と当時を振り返る美鈴さん。そのような環境にありながら、母親のお店を引き継ぐ形で居酒屋をオープンさせたのはなぜなのでしょうか。

その背景にある思いを伺いました。

「結局、お料理が好きなんですよね。自分が食べるのも好きだし、他人に食べさせるのも好き。」

学校を卒業した美鈴さんは親戚を頼って単身・大阪へ渡ります。岩手から遠く離れた地で喫茶店のアルバイトをしながら過ごした後、20歳で結婚を機に遠野へ戻り、夫婦で居酒屋をオープンさせました。当時は今のお店からは少し離れた場所でお店を経営していたといいます。

「喫茶店のアルバイトといってもそんなに料理がうまくなるわけじゃないし、居酒屋を経営してはじめて、旦那の料理を見よう見まねで覚えて、経営ってこんなに大変なんだって感じましたね。」

その後、離婚を経験されますが、元夫と居酒屋を経営するなかで、一番大切なものを得たといいます。
「とにかく出汁だよね。結婚する前は出汁の存在すら知らなかったの。」
料理の基本でありながら、味の決め手となる最も奥の深い存在、出汁。

そんな出汁にこだわって作られているお料理の中に冬季限定の「おでん」があります。丁寧に取った出汁にこちらも丁寧に面取りをした大根や他の具材を入れていきます。珍しいのが牛すじを入れる点。

岩手ではおでんに牛すじを入れる文化はあまり見られませんが、関西では定番の具材。最初にじっくり取られた出汁に加え、後入れの牛すじからも旨みが出て、注文してお料理をいただくころには出汁のコクが一段と深まっています。

「お料理が大好き」と語る美鈴さん提供のメニューはその豊富さに目を見張ります。居酒屋定番のホットスナックから焼きそばはもちろん、故郷大阪のとん平焼き、大阪での経験を思わせる喫茶店のようなナポリタンやオムライスまで、ジャンルを問わない料理が並びます。

「一人でこんなに作るのは大変じゃないですか?」と尋ねると、
「自分が食べるのも好きだけど、他人に食べさせるのも好きだから。自分がおいしいと思ったものは食べてもらいたいじゃない。」との答えが。

今でも旅行に行って「おいしい!」と思うものがあれば、メニューに入れられないか考えるのだそう。これまで美鈴さんの人生で経験した「おいしいもの」、「お客様にも味わってほしいもの」のフルコースがメニュー表のなかに所狭しと刻まれています。

そんな美鈴さんは2019年に独学でフードコーディネーターの資格を取得するなど、今なおおいしいものを、さらにおいしくお客様に食べていただくために、自己研鑽を続けています。

さらに「自分を育ててくれた遠野に恩返しがしたい」「遠野のまちなかを楽しくしたい!」との思いから、ご自身の趣味であるJAZZを活かした「遠野ジャズフェスティバル(TONO JAZZ FESTIVAL)」や「ちょい飲み遠野ではしご酒」などの企画を主催されています。

確かな実力と店主のあたたかな思いやり。そして店主の人生を旅できるようなメニューがそろった居酒屋「Deん~隠れ家~」。

みなさまも「Deん~隠れ家~」のメニューとともに、美鈴さんが巡ってきた「日本のおいしいもの一周旅行」の旅に出てみてはいかがでしょうか。

 

Deん ~隠れ家~

Deん~隠れ家~

「Deん~隠れ家~」は遠野駅から徒歩1分足らず。駅のすぐ横に位置するロケーション抜群の居酒屋です。ゆったりと過ごせる心地よい雰囲気が魅力です。⇒詳しくはこちら