「家業」を「企業」に。60年以上続く遠野食肉センター3代目・千葉明廣さんに聞く
岩手のご当地料理といえば、何が思い浮かびますか?
わんこそば、冷麺、じゃじゃ麺。。。
プラス「遠野ジンギスカン」!を実現しようとしているのが「遠野食肉センター」です。
今回はそんな情熱あふれる3代目社長・千葉明廣さんに遠野食肉センターの歴史とこだわりをお話しいただきました。
遠野食肉センターは約60年前、肉の卸で修行を積んだ初代が、「本当においしい肉を届けたい」という思いで創業しました。当時はマトンのジンギスカンが主流でしたが、初代はいち早くラム肉のやわらかさと旨みに気づき、精肉店に食堂を併設。直営ジンギスカン店という新しい形で、遠野じんぎすかんの新たな道を切り開きました。
二代目はその思いを受け継ぎ、冷凍肉が当たり前の時代に、生後1年未満のラム肉を冷凍せずに仕入れ、鮮度を保ったまま提供する仕組みを作り上げました。鮮度と品質にこだわった「生ラムジンギスカン」は、遠野の人々や観光客に広く親しまれる味となっています。
今もそのこだわりは変わりません。オーストラリアやニュージーランドの高品質なラム肉を厳選し、仕入れから提供までしっかり管理。いつでも最高の鮮度と旨みを楽しめるラム肉を届け続けています。
三代目社長の千葉明廣さんは、幼いころからこの食堂とともに過ごし、変化の過程を一番近くで見てきました。焼肉レストランとしても経営が順調だった遠野食肉センター。なぜラム肉専門店へと舵を切ったのでしょうか?
「(遠野ジンギスカンで使っている)メインのお肉は海外産です。でも文化は遠野のものだし、それを『遠野ジンギスカン』と呼んでいます。『遠野ジンギスカン』は野菜をおいしく食べられる料理の一つだと思うんですよ。」
そう語る千葉さん。遠野食肉センターでは使用する野菜もできる限り遠野産にこだわり、遠野産の野菜をおいしく味わえるよう工夫しています。
その裏側には、2代目である父の言葉と千葉さんの信念がありました。
「父がよく『お客様にはいいものをまじめに、誠実に届けるべきだ』と言っていました。つい『売れるもの』を優先したくなってしまいますが、『いいもの』『お客様に求められているもの』を誠実に届けることが大切だと思っています。」
先代の言葉から「求められているものを誠実に届けるしかない」と感じた千葉さん。しかし「お客様が求めているものは何か」を考えているうちに、遠野が抱える問題にも気がついたといいます。
「遠野の野菜ってすごくおいしいんですけど、遠野市内という小さいマーケットで生産から消費まで完結してしまっているんですよね。でもこれを『遠野ジンギスカン』として発信すれば、市外にも遠野産のおいしい野菜やその背景にある農家さんの思いを届けられると思うんですよ。」
日頃から「家業」を「企業」にするのが自分の役割だと語る千葉さん。その背景には、遠野食材の流通課題を解決したいという思いと「より良いものをお客様に届けたい」という強い信念がありました。そんな食肉センターで味わえる遠野じんぎすかんの魅力は「ぐるりとテーブルを囲み”おなかとこころでつながる”」という遠野の食文化を味わえること。遠野ジンギスカンを食べることで、食材も文化も、遠野をまるっと楽しむことができます。
遠野食肉センターはラム肉の鮮度に徹底的にこだわり、現地視察や商社との直接交渉、企画開発、さらには現地業者との連携を通じて品質向上に取り組んできました。その企業努力の結晶が「生ラム」であり、「遠野食肉センターのラムはうまい」と高い評価を受け、今では「生ラム専門店」として広く知られています。
最後に、千葉さんからメッセージをいただきました。
遠野食肉センターは「ラム肉専門店」です。普段なかなか食べることのできない、鮮度のいいラム肉を提供していますので、ぜひそのおいしさを味わってください。遠野ジンギスカンには「地域の野菜」「季節の野菜」「飲み物」が詰まっています。「おいしい」だけではなく仲間とわいわい楽しみながら、「遠野ってたくさんいいものあるね」「次また来たいな」と思っていただければ幸いです。
こだわりのラム肉と遠野産野菜をみんなで囲んで味わう遠野ジンギスカン。ぜひ、遠野ジンギスカン専門店の遠野食肉センターで試してみてはいかがでしょうか。