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遠野旅行を安心して楽しむために

ツキノワグマとの上手な付き合い方 ─ 知っておきたい生態と安全対策 

 

はじめに

遠野旅行を安心して楽しむために

遠野は四方を山々に囲まれたまち。山や里には、さまざまな生きものが共に暮らしています。ツキノワグマもまたその一部です。本来はおとなしく、人を避けて暮らす動物ですが、近年は食べものを求めて行動範囲が広がり、私たちの生活圏に近づくことがあります。そのため農作物の被害や、思いがけない遭遇が起こることもあり、観光地の近くや道沿いで姿を見せることも増えてきました。

遠野良好の前に知っておきたい天候・服装・安全情報⇒https://tonojikan.jp/clothing/

ただし、多くの場合は、食べものを探す途中や、人の気配に驚いて逃げる過程での偶然の出会いです。

安心して自然を楽しみ、安全に暮らすためには、「クマがすぐそばにいるかもしれない」という意識を持ち、正しい知識と心構えで行動することが大切です。この記事では、クマの生態、季節ごとのリスク、「もしも」のときの対処法までを分かりやすくお伝えします。

 

ツキノワグマってどんな生き物?

思わぬトラブルを防ぐためにも、まずはツキノワグマの基本的な能力や習性を理解しておきましょう。ここでは、岩手県をはじめとする東北各県の行政が発信している情報をもとにまとめています。
※関連リンクは本記事の最後に掲載していますので、あわせてご覧ください。
※ここで紹介している内容は、あくまで一般的な傾向です。クマの行動や性格は、地域・個体・環境によって異なります。

 

生態と能力

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  • 黒い体毛に、胸もとへ白い「月の輪」模様がある個体が多いのが特徴。
  • 嗅覚と聴覚が非常に発達しています。人や食べもののにおい、わずかな音にも敏感です。
  • 視力は強くありませんが、動きには素早く反応します。
  • 植物を中心に、季節の実や山菜、昆虫などを幅広く食べる雑食性。
  • 木登りが得意。幹に残る爪痕や、樹上のクマ棚(実を食べた小枝の残り)が痕跡として見られます。
  • 基本はおとなしく臆病ですが、驚かされたときや子グマを守るときは攻撃的になることがあります。
  • 逃げるものを追う習性があるため、背を向けて走るのは禁物。
  • 学習能力が高い。一度「食べものが得られる場所」を覚えると再び訪れやすく、人目を避けて夜間に活動時間をずらすこともあります。

 

季節ごとの行動

ツキノワグマは、基本的に昼行性ですが、朝と夕方の薄暗い時間帯に最も活発に動きます。
季節ごとの食べものの変化や環境条件によって、人里に姿を見せる時期や頻度が変わります。

以下は、岩手県などの公的発表をもとにした、代表的な行動傾向のまとめです。

🌸 春(4〜6月)

冬眠明けのクマが動き出す季節。山の雪が解けると、新芽や山菜を求めて行動を開始します。栄養を補うために低い山や人里近くまで下りることがあり、ちょうど山菜採りやハイキングの時期と重なるため、出会いやすい季節です。

🌿 夏(7〜8月)

若いクマが独り立ちし、行動範囲が広がります。経験が浅く好奇心旺盛なため、人里や道路沿いに姿を見せることも。夏は葉が硬くなり山の食べものが少なくなる時期でもあり、果樹や作物のにおいに引かれて生活圏へ近づく場合があります。キャンプ場や登山道など、アウトドアシーズンはとくに注意を。

🍁 秋(9〜11月)

冬眠前のエネルギー蓄積期。ドングリやクリ、クルミなどを求めて広く歩き回り、もっとも活動が活発になります。実りが少ない年は行動範囲が広がり、人里での目撃も増えがち。クリ拾いなど里での活動時も注意が必要です。

冬(12〜3月)

クマは冬眠に入りますが、すべての個体が眠るわけではありません。暖冬や少雪の年は動くことも。メスは冬眠中に出産し、春まで巣穴で子育てをします。冬季登山や林業では、倒木の陰や斜面のくぼ地など巣と思われる場所に近づかないようにしましょう。

 

クマと「出会わない」ために(山や自然に入る方へ)

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クマは人の気配を感じると、自ら離れていくことがほとんどです。
大切なのは、「自分の存在を伝えること」。
少しの工夫で遭遇のリスクはぐっと減ります。

「音」で存在を知らせよう

  • クマ鈴やラジオを鳴らす
    歩くときは常に音を立てて。特に単独行動は避け、仲間と会話しながら歩くと安心です。
  • 声かけも効果的
    山菜採りや散策のときも、「行くよー」「きれいだねー」など自然に声を出して進みましょう。

 

行動の時間と場所を選ぼう

  • 明け方と夕方は避ける
    明け方や夕方などの薄暗い時間帯はクマの活動が活発です。できるだけ日中に行動しましょう。
  • クマの痕跡を見たら引き返す
    フンや足跡、木の幹の爪痕、木の上に残る「クマ棚」を見かけたら、その先へは進まず戻るのが安心。
  • 子グマを見かけたら静かに離れる
    必ず母グマが近くにいます。静かにその場を離れましょう。

 

食べものはしっかり管理

  • ゴミは必ず持ち帰る
    お弁当の食べ残しや果物の皮なども、クマにはごちそう。嗅覚の優れたクマにとって、ニオイが強いほど呼び寄せてしまう可能性が高くなります。
  • ペットフードも注意
    キャンプなどでペット同伴の場合は、エサを屋内や車内に保管しましょう。

 

いざという時の備えも

  • クマスプレーを携帯
    使い方をあらかじめ確認し、すぐに取り出せる場所にしまっておきましょう。

 

森で見かける「痕跡(フィールドサイン)」

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ツキノワグマの爪痕

山に入る際は、クマの存在を事前に察知し、遭遇を未然に防ぐことが大切です。
以下のような痕跡(フィールドサイン)を見かけたら、引き返す判断をしましょう。

  • 爪痕:
    幹に縦方向の並行したひっかき跡。木登りや降りる際のブレーキ跡です。
  • フン・足跡:
    周辺にクマがいるサイン。見つけたら無理をせず引き返すのが安心。
  • 樹皮はぎ:
    初夏の針葉樹で見られる樹皮剥ぎ。木の甘皮を食べた痕です。
  • クマ棚:
    樹上に残る食べ跡の小枝の山。実の季節に見られます。

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ツキノワグマの足跡

※これらの痕跡を見つけた場合は、立ち止まらず静かに引き返しましょう。
匂いを嗅いだり、写真を撮るために近づく行動は危険です。

 

クマを「寄せつけない」ために(滞在・宿泊の方へ)

クマはとてもかしこく、一度「人里は安全でエサがある」と覚えると、繰り返しやって来てしまいます。
日常の中で寄りつきにくい環境づくりを心がけましょう。

  • 生ゴミやコンポストの管理をしっかり
    使い終わったBBQ食材や生ゴミは屋外に置かず、ふた付きの容器に入れ、匂いを封じることが大切です。
  • 実のなる木は早めに収穫
    「カキ」や「クリ」などはクマの大好物。実が熟したら早めに収穫し、落ちた実も片付けましょう。
  • 見通しの良い庭づくりを
    茂みや雑草を刈り、クマが隠れにくい環境にしましょう。家のまわりが見渡せるだけで、寄りつきにくくなります。

 

もしクマに出会ってしまったら(遭遇時の行動)

まずは落ち着いて。慌てず、静かに距離をとることが何よりも大切です。

ゆっくりと後ずさる

  • クマに背中を見せて走らないように。逃げると追いかけられる可能性があります。
  • 急に大声を出したり、物を投げたりしてクマを刺激しないでください。
  • クマの動きを見ながら、静かに距離をとりましょう。

 

もしもの時の防御姿勢

  • クマが突進してきたら、両腕で頭や顔を守り、体を小さく丸めて伏せます。
  • リュックを背負ったままにして、背中を守るようにしましょう。
  • クマスプレーを使うときは、風向きに注意し、自分にかからないように。

 

情報を知って、旅をもっと安全に

遠野旅行を安心して楽しむために

遠野の自然は、人と野生動物が共に生きる場所です。一方で近年は人との距離が近づき、人里にも姿を表すようになりました。豊かな自然を楽しむためにも「近づかない・近づけさせない」という意識が重要です。必ず距離を保ち、安全対策をお願いします。

  • 最新情報をチェック
    遠野市や岩手県の公式サイトで、最新のクマ出没情報を確認してからお出かけください。
  • 見かけたときは連絡を
    クマを見た場合は、遠野市役所へ早めにお知らせを。地域全体での安全対策につながります。

 

連絡・お問い合わせ先

クマを見かけた場合や、出没に関する情報は遠野市役所(農林課)へ ご連絡ください。現場の安全確保や情報共有のため、迅速な通報が大切です。

🐻 クマの出没・目撃情報について
遠野市役所(農林課) TEL:0198-62-2111

🎒 観光・滞在に関するお問い合わせ
遠野市観光協会 TEL:0198-62-1333
※クマよけ鈴の貸し出しを行っています。(8:30~17:30)
ご利用の際は、お名前と連絡先をお伺いしています。
数に限りがありますので、貸出中の場合はご容赦ください。

 

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