
岩手県遠野市では、2016年から地域おこし協力隊制度を活用し、起業する意欲のある都市部の方々を受入れ、遠野が長年培ってきた豊かな自然環境や歴史、文化、産業などの地域資源に新たな光を当て地域内外にその魅力を発信してきました。
日本有数の栽培面積を誇る『遠野産ホップ』を活用した「ビールの里づくり」や、『遠野物語』を軸に地域文化を再編集する「to know」といった取り組みは、地域一体となったその取組が多くの共感を呼び、全国から注目される取組に発展しました。
令和7年度は、「森と人をつなぐプロジェクト」「シン一集落一農場プロジェクト」「地域資源×商品開発プロジェクト」「プロジェクト連動型自由提案」の分野で一緒に挑戦してくれる新たな仲間を募集します。 一緒に新しい持続可能な未来を創造しましょう!!
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記事一覧-
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森と人をつなぐプロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
岩手県遠野市は市の面積の約8割が森林であり、早池峰山を最高峰に周囲を山々に囲まれ、遠野盆地の田畑の風景と相まって、豊かな自然景観を有しています。
私たち人間は、自然循環のなかで生み出される大気や水などの資源を享受し生活しています。しかし、時代の流れのなかで、自然との関係性を意識することなく生活する人が増えている状況は、暮らしが常に自然と共にあり、昔から育まれた知恵や文化が受け継がれている遠野市においても例外ではなく、森林を取り巻く様々な事象が課題となっています。
森林を取り巻く課題としては、木材価格の低迷により山林所有者や市民の森林への関心が薄れていること、加えて林業従事者の高齢化や人手不足により手入れされない森林が拡大し、森林に人手が入らなくなることにより、クマやシカなどの野生動物との緩衝帯が失われ、農作物等への被害が増加していることが挙げられます。また、荒れた森林が増えたことで、森林が有する水源かん養などの機能が低下し、近年多発する集中豪雨に耐えられず下流域での土石流災害の危険性が高まっています。これら森林環境を取り巻く複雑な課題は、わたしたち市民の生活に直結する課題でもあります。これらは山林所有者や林業に関わる人だけが取り組む課題ではなく、地域及び市民一人一人が関心を持ち、様々な視点で取り組みを行っていく必要があります。
今回募集するプロジェクトでは、持続的な自然と市民の共生に焦点をあて、豊かな森づくりのため市民と共に間伐等の森林保全活動を行います。豊かな森とはどのような森であるのかを市民と共に考え、市民が将来にわたり持続的に森林と関わっていくことができる仕組みを検討し実践していきます。このプロジェクトに参加し、市民と森林をつなぎ、地域を巻き込んだ活動を実践する役割を担ってみませんか。
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【パートナー】
〇 千葉 和(特定非営利活動法人遠野エコネット 代表理事)
平成3年に遠野へ移住。平成16年に遠野郷の自然を愛する市民有志と共に遠野エコネットを発足。その後、自然環境を守るだけではなく、未利用の資源を活かし、人材育成などにも取り組むことで地域社会に貢献するため、平成22年にNPO法人化。森(自然界)とヒトとの関係を取り戻すことが持続可能な地域の未来につながっていくと考え、様々な活動を展開中。
〇照井 菜々(特定非営利活動法人遠野エコネット 遠野森のがっこう運営マネージャー)
岩手県遠野市出身。大学で教育を学び、遠野エコネットの子ども向けプログラムに学生ボランティアとして参加。その後、児童館、起業家支援、コミュニティスペース運営を行う団体で勤務したのち、遠野エコネットのスタッフとして遠野森のがっこうの立ち上げに関わり、現職に至っている。
※遠野森のがっこうとは
遠野市で様々な自然体験活動を行ってきた特定非営利活動法人遠野エコネットが、市の北に位置する薬師岳の麓に、誰もが日常の中で自分のペースで自然と共に過ごせる場をつくりたいと願い令和6年4月にオープンした自然体験施設です。
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【求める人物】
・ 人と自然に関わることに興味があり、将来、林業や森林に関わる事業に取り組みたい方
・森林をテーマにしたプログラムや新たな仕組みの企画・立案とその実践に取り組める方(未経験者でも可)
・地域住民とコミュニケーションをとりながら、課題解決に取り組める方
・地域に暮らす方々の文化や価値観等を理解し、リスペクトできる方
【ミッション / ロードマップ】
1年目:遠野森のがっこうを拠点に、遠野市の森林と森林を取り巻く現状を調査し、隊員の興味や適性に応じて、林業・ガイド・インストラクター等の森林や自然体験に関する基本的な知識と技術を習得します。
2年目:1年目の活動を継続しつつ、森林と地域住民との関わりの課題の抽出、新たなプログラムやサービスの開発と実践を行い、将来、自分が生業として取り組むプランを検討します。
3年目:2年目までの活動を発展させながら、自ら考えたプランを実践し、将来継続して活動できる仕組みを確立します。
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シン一集落一農場プロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
岩手県遠野市宮守町の宮守川上流地区は、平成8年に 182戸の農家がまとまり「一集落一農場」構想を掲げて、宮守川上流生産組合を設立し、約100haの農地で稲作等を行ってきました。また、平成15年には農産物直売所、平成23年には農産加工場とどぶろく製造場を整備し、生産から加工、販売まで一貫した事業体制を整え、運営を行っています。また、近年ではブルーベリー園やわらび園を活用した農業体験や観光など新たな事業を展開しつつあります。
しかし一方で、組合員や地域住民の高齢化により、地域農業を支える人手不足や、大型機械が入りにくい生産性の低い農地の維持保全が大きな課題となっています。このような状況のなか、令和3年に国の指定棚田地域の認定を受け、棚田を核とした地域振興と地域農業の担い手確保の一環として、関係人口を拡大する取り組みに着手しましたが、成果に結びつくところまでに至っていない現状です。
今回募集するプロジェクトでは、新たな視点で地域の現状把握と課題の整理を行い、課題解決に向けて、共に挑んでいきたいと考えています。農業の担い手不足、農地の維持保全、関係人口づくりなど、多くの農村地域が抱える課題に、自身の経験やスキルを生かして一緒に取り組めるパートナーを求めています。将来的には地域組織の運営、コーディネートができる能力を身に付け、私たちと共に持続可能な地域づくりに取り組んで頂きます。
宮守川上流地域の新しい一集落一農場構想(=シン一集落一農場)の実現に向け、一緒に活動してみませんか。
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【パートナー】
〇桶田 陽子(農事組合法人 宮守川上流生産組合 代表理事組合長) 岩手県盛岡市生まれ。大学卒業後、北海道農業改良普及員として8年間勤務。退職後、2年間のJICA海外協力隊員(インドネシア派遣)を経て、平成19年宮守川上流生産組合組合に就職。就職を機に同町に移住。平成23年加工部長として加工事業を立ち上げ、令和6年から現職。
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【求める人物】
・ 農業農村、地域課題に関心があり、主体的に取り組む方
・ 自ら積極的にコミュニケーションをとり、地域住民との関わりを楽しめる方
・ 野外での労働作業に熱心に取り組む方
・ 普通自動車運転免許を有し、自立的に活動できる方
・ 資料作成や情報発信を行うためのスキルがある方
【ミッション / ロードマップ】
1年目:過去に受入れた研修生へのアンケート調査の実施地域住民との交流を通した地域資源や魅力の再確認作業ホームページや動画作成、SNSでの情報発信。地域での課題解決力の習得
2年目:「棚田funファンクラブ」の活動メニューの充実と関係人口の拡大につながる取り組み気軽に参加できる農作業のアルバイトの募集や研修重視の体験ツアーなどの企画と実践
3年目:農作業応援や移住につながる関係人口の取り組み強化地域組織の運営やコーディネート能力の習得
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③
地域資源×商品開発プロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
株式会社遠野ふるさと商社は、岩手県遠野市の物産振興と観光活性化を担う地域商社です。
「遠野のヒト・モノ・歴史文化を織り交ぜ、地域ならではの価値を創出し、遠野ブランドを磨き上げ、地域を元気にする」を企業理念とし、道の駅「遠野風の丘」、観光施設「伝承園」「遠野ふるさと村」、入浴宿泊施設「たかむろ水光園」などの施設運営、地域産品の開発、ふるさと納税事業、DMO事業を手掛けています。
遠野市には、「ホップ」「わさび」「暮坪かぶ」「淡水魚」といった多彩な農林畜産物があり、それらを活用した加工品も製造・販売されています。また、伝統文化や生活の知恵も長年受け継がれており、歴史・文化的資源を背景とした「どぶろく」「つけもの」「ひっつみ」「焼もち」といった伝統食も製造・販売されてきました。
しかし、これらの資源や商品の製造・販売には、「担い手不足」「収益性」「生産・製造量と需要とのバランス」「販売先の確保」などの課題があります。
この課題を解決するため、地域内外の視点を持ち、顧客ニーズや市場・販路を意識し、地域住民と共に地域資源を活かした持続可能な商品開発に取り組む人材を必要としています。
今回募集するプロジェクトでは、遠野市の地域資源やその活用状況を横断的にリサーチし、消費者ニーズや市場・販路、持続可能性を意識した商品開発に携わっていただきます。また、地域に根ざし、既存商品のブラッシュアップや、新たな商品開発に取り組むことで、企画力や調整力のある人材の育成を目指します。
遠野の豊かな農畜産物や資源を活かした商品開発に、私たちと共に取り組んでみませんか。
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【パートナー】
〇木原 直治(株式会社遠野ふるさと商社 執行役員)
㈱マツキヨココカラ&カンパニー事業会社で店舗運営・商品仕入・開発部長・財務経理部門長・グループ健康保険組合事務長を歴任。また社内・社外を横断した数々のプロジェクトリーダーを務めた。
2024年9月、親族が岩手県出身である縁で遠野市に移住し、株式会社遠野ふるさと商社に入社。現在は地域商社本部執行役員として、風の丘運営、商品企画開発、EC推進、国内外販路拡大に取り組んでいる。
〇及鈴木 充(株式会社遠野ふるさと商社 執行役員)
入社後、首都圏アンテナショップ店長、オリジナルギフト「遠野味紀行」の立ち上げ、新商品開発、自社商品の首都圏への供給など、物産振興業務に従事。道の駅遠野風の丘の立ち上げ時には中核的な役割を担い、以降、伝承園支配人、直営飲食店「茶蔵」運営責任者、風の丘支配人、水光園支配人として多方面にわたる事業を展開。現在は経営企画本部執行役員として、経理、人事総務業務を担当している。
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【求める人物】
・地域の文化や価値観を尊重し、幅広い層の人々と相手の立場に立って対話できるコミュニケーション能力を有している方
・地域活動、文化体験、食文化に対する関心を持ち、地域を盛り上げたいという意欲のある方
・他者の意見や考え方を柔軟に受け入れ、自身の成長に繋げられる方
・普通自動車運転免許を保有している方
・基礎的なパソコンスキル(Excel/Word/PowerPoint)がある方
・商品開発やECサイトの運営の経験があればなお良い
【ミッション / ロードマップ】
1年目:市内事業者、生産者、公的機関(遠野市、商工会、農協等)など関係者のリサーチ及び情報交換商品開発に関する基礎的スキルを習得し、地域資源の理解深めるとともに、消費者ニーズや販路の整理
2年目:1年目の活動を踏まえ、地域資源を活かした商品の開発及び販売促進活動を展開し、その結果を関係団体に共有
3年目:商品のブラッシュアップ、商品開発のノウハウの共有等
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④
プロジェクト連動型自由提案 募集人数:2名
【プロジェクト概要】
遠野市は、冷涼な気候と豊かな自然環境を活かした農業が基幹産業です。しかし、人口減少や高齢化が加速している中、農業従事者の減少や遊休農地の拡大が大きな課題となっており、農業を守っていくためには、将来の地域農業の担い手となる農業者の確保・育成が急務です。
遠野市では、これまで地域おこし協力隊制度を活用し、新規就農者の育成や関連産業の振興を図ってきましたが、解決すべき課題が依然として多く存在します。
こうした状況を踏まえ、今回「ホップ」「森づくり」「集落営農」の3分野における課題解決に向けて、独自の視点や経験、スキルを活かして主体的に取り組む人材、またはコーディネーターとして課題解決に取り組む人材を募集します。
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【パートナー】
この自由提案型ミッションにおけるパートナーは、提案された内容に基づき、今年度提案されているパートナー企業を中心に当市で調整し、定めるものとします。
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【求める人物】
・農家、行政、民間企業等の間に入って調整役として活躍できる方
・地域住民と積極的にコミュニケーションがとれる方
・課題に対して自分の考えや意思を持ち、打ち手が検討できる方
・関係者の考えや意見を受け入れる柔軟性があり、周囲への働きかけを通して仲間を集めることができる方
・高い当事者意識、強い意志をもって物事に取り組める方
・プロジェクトに取り組む先に地域の未来像を思い描ける方
【ミッション / ロードマップ】
事業計画書を応募書類と併せて提出していただきます。
事業計画書には必ず下記ア~エを明記してください。
・事業の背景及び遠野市で実施する意義
・事業の目的
・実施内容
・3ヵ年のスケジュール
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