岩手県遠野市では、2016年から地域おこし協力隊制度を活用し、起業する意欲のある都市部の方々を受入れ、遠野が長年培ってきた豊かな自然環境や歴史、文化、産業などの地域資源に新たな光を当て地域内外にその魅力を発信してきました。
日本有数の栽培面積を誇る『遠野産ホップ』を活用した「ビールの里づくり」や、『遠野物語』を軸に地域文化を再編集する「to know」といった取り組みは、地域一体となったその取組が多くの共感を呼び、全国から注目される取組に発展しました。
令和6年度は、「わさび栽培プロジェクト」「観光まちづくり(DMO)プロジェクト」「地域の拠点となる空き校舎の活用プロジェクト」の分野で一緒に挑戦してくれる3名の新たな仲間を募集します。 一緒に新しい持続可能な未来を創造しましょう!!
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記事一覧-
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わさび栽培プロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
遠野市の宮守町達曽部地区では、地域の水資源に注目した根わさび生産に大正時代から取り組み、栽培面積を拡大しながら遠野市の特産物として育ててきました。現在では、東北一の生産量を誇り、豊洲市場を中心に販売を行っています。
わさびは、栽培期間が15か月から24か月を要する作物のため、本市では、冬季間が寒冷なことから、かつては、わさびの凍結を避けるために一年で収穫していました。
その後、ビニールハウスの導入によって冬季間の寒さを克服し、栽培期間を十分に確保できるようになり、他の産地と競うことができる品質のわさびを生産することが可能になっています。
最近では、本わさびの他、チューブ入りわさびに代表される加工原料となる林間わさびの栽培が市内生産組合を中心に行われています。岩手県の林間わさびの栽培は、国内で最大の生産地となっており、岩泉町、宮古市、九戸村での生産が盛んに行われていますが、本市においても、加工原料としての需要が高い林間わさびについても、生産規模の維持、拡大が望まれる品目となっています。
一方、全国的に基幹的農業従事者の平均年齢が上昇し続けている中、当市のわさび栽培農家も同様に、平均年齢が上昇し、離農農家も現れています。わさび農家は家族経営が中心で、若手が中心となって経営している農家は、全体の半分以下にとどまっていることから、世代交代がなければ、農家戸数減少による生産基盤の低下は避けられない課題となります。
今後10年、世代交代をせず農家を廃業する生産者の増加も考えられることから、生産基盤を維持するためには、栽培に携わる農家の育成が必要となります。当市でも今後予測される現状を打開するために、遠野市に定住し、わさび栽培に携わるメンバーを募集します。
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【パートナー】
〇菊池 陽(一般社団法人遠野わさび公社 所長)
遠野市宮守町出身。平成4年に一般社団法人遠野わさび公社前身の社団法人宮守わさびバイオテクノロジー公社入社。組織培養技術によるわさび苗の育苗に従事。令和元年より一般社団法人遠野わさび公社所長に就任。公社運営の他、苗の生産、わさび栽培に従事している。
〇田村淳一(株式会社BrewGood 代表取締役)
和歌山県田辺市出身、立命館大学法学部卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社。リクルートでは住宅関連の新規事業の立ち上げや法人営業を担当。平成28年に退職し岩手県遠野市に移住、平成29年には仲間と株式会社遠野醸造を設立し、翌年春にビール醸造所兼レストランを開業。農業の課題解決、まちづくりの推進、新たな産業創出のため平成30年に株式会社BrewGoodを創業。
○神山拓郎(遠野アグリサポート代表/地域おこし協力隊)
平成24年から9年掛けて日本全国の醸造所、生産者を訪ね歩き、令和2年からはビール醸造・ホップの栽培に従事。遠野アグリサポートでは、ホップだけでなく、わさびや他の野菜の振興や課題解決にも取組む。 -
【求める人物】
・わさび栽培に興味があり、わさび栽培との複合経営で農家として自立を検討している方
・定住し地域住民や生産者とコミュニケーションをとり、わさび栽培に取組める方【ミッション / ロードマップ】
1年目:一般社団法人遠野わさび公社、生産者の現場で一緒に作業を行い、わさびに関しての知識の習得、作業を経験していただきます。
2年目~3年目:1年目同様、一般社団法人遠野わさび公社、生産者の現場で一緒に作業を行いわさびに関しての知識の習得、作業を経験していただきます。また、1年目の作業で習得した技術を生かし研修者みずから栽培を行います。
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観光まちづくりプロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
遠野市の観光といえば何を浮かべますか?『遠野物語』、カッパ、ビール、ジンギスカン・・・人によって浮かべるイメージが異なるほど、遠野市は豊かな観光資源に恵まれています。一方で、この観光資源を最大限活用した積極的な情報発信・プロモーションは近年十分にできていません。その結果、観光入込数は震災時をピークに、減少が続いています。さらに、観光客一人当たりの消費額は県下でも低い状況です。人口減少により今日の遠野を構成する美しい農村風景や地域で受け継がれてきた文化や風習は、年々失われるリスクが高まっており、産業や文化の後継者不足も課題です。
そこで遠野市では、令和5年3月に約16年ぶりに遠野市観光推進基本計画を策定し、持続可能な観光まちづくりに取組むことを定めました。持続可能な観光とは、観光のために地域を利用するのではなく、地域のために観光を利用するという考え方で、遠野市では観光によって地域の産業に新たな活力を生み、住む人も、訪れる人も、働く人も、心が豊かになる地域を目指しています。他地域より優位性があり、遠野を知る入口となるエントリーテーマを「カッパ(妖怪)」「ホップ・ビール」に定め、パンフレットやポスターの刷新、SNSの運用など情報発信・プロモーションに取り組んでいるところです。
今回募集するDMO人材は、この観光まちづくりの流れの中核を担うDMO法人・株式会社遠野ふるさと商社に所属し、多岐にわたる事業をサポートします。株式会社遠野ふるさと商社は「道の駅遠野風の丘」や「伝承園」等の観光施設を運営し、観光活性化や地域の物産振興を担っている会社です。新たに設けられたDMO部門にて、官民連携協議会の運営から一元的なブランディング・プロモーションの戦略立案・実施、モニタリングに資するデータの収集にいたるまで、観光協会や商工会、交通・宿泊事業者等と連携しながら幅広い業務を担います。業務に付随する行政や関係省庁との折衝、資料作成などもDMOの基盤を強化していくうえで欠かせない業務です。
遠野の新たな観光まちづくりはまだ始まったばかりです。まちづくりの全体像を俯瞰できるポジションで、将来の観光による賑わいをイメージしながら、観光振興の底上げを担う役割に挑戦しませんか。
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【パートナー】
〇多田 陽香
(株式会社遠野ふるさと商社DMO部門/観光マネジメントボード遠野事務局長)
1990年生まれ。岩手県遠野市出身。大学で文化人類学を専攻し海外留学を経験後、都内ITベンダーに勤務。2018年Uターンし、地域コーディネーターとして活動する傍ら、遠野ふるさと観光ガイドの養成講座を経て『遠野物語』を軸としたツアーの企画や日英ガイドを経験。持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の国際基準を学び2022年GSTC Professional認証取得。2023年4月からは株式会社遠野ふるさと商社DMO部門で官民連携協議会「観光マネジメントボード遠野」の事務局を担当。
〇小田島 孝英
(株式会社遠野ふるさと商社DMO部門/観光マネジメントボード遠野事務局)
1974年生まれ。岩手県花巻市出身。美術系の専門学校を卒業後、ホテル・旅館業に10年以上携わり特にOTAでの販売促進や日々の営業管理を担当。2015年から趣味でブログやYoutubeにてIT系の情報発信を行い、ブログはピーク時に年間88万PVに達し、Youtubeチャンネルは3.5万人の登録者を有するまでに成長させる。これらの経験を活かし2024年1月からは株式会社遠野ふるさと商社DMO部門で、主にWEB記事の取材・ライティングやSNSの運用を担当している。
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【求める人物】
・自らも旅行するのが好きな方
・人の話を聞き、困りごとをサポートするのが好きな方
・数字に対する苦手意識がない方
・地域に暮らす方々の文化や価値観等を理解し、リスペクトできる方【ミッション / ロードマップ】
1年目:DMO部門の業務のアシスタントをしながら遠野の観光を客観的目線で体験し、課題や強みを学ぶ。
2年目・3年目:適性にあった入込増・消費額増に向けた施策の実施に主体的に携わる。
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③
地域の拠点となる空き校舎の活用プロジェクト 募集人数:1名
【プロジェクト概要】
遠野市土淵町は『遠野物語』に代表される名所や文化財が多数点在し、里山の美しい景観が広がり、カッパ淵や伝承園などの観光施設や宿泊業、農泊が活発な市内有数の観光地です。第2の人生や多彩な取り組みを行う地域住民・起業家など意欲的な人材が増えている地域でもあります。しかし、人口は1,900名弱(約750世帯)であり、令和7年度には65歳以上の老年人口と働く世代(15-64歳)人口の逆転が懸念され、少子高齢化や人口減少に伴う経済活動低下、飲食店・商店の減少等の地域課題の解決が急がれています。
土淵町は、早い時期から農業法人が立ち上がり、民間事業者の活動も比較的活発で遊休農地活用や特産品開発などができる体制があります。また、更なる産業・観光振興の活性化により地域社会及び経済の活性化ができる可能性が高い地域です。そして、今後地域づくりの拠点として空き校舎(旧土淵中学校)・教室を多様に活用できる官民の連携体制はある程度整っています。
今回募集する人材には、今後地域の拠点となる空き校舎(旧土淵中学校)の活用の推進を図りながら、「食」「技の伝承」「多様な生業」等をテーマに空き教室を多様に活用していただける方を求めます。そのためには、継続的な運営体制構築や地域内外の多様な人材が活躍できる仕組みや場づくり、ツアーやイベント企画・実施、それらの情報発信も必要となります。この地域の拠点となるような空き校舎・教室の活用の取り組みは、地域住民と意見を交わしながら次のような実施案をもって現在実証事業を行っています。
■地域に開かれた「食」の拠点(案)
・日替わりシェフレストラン(ランチ、ディナー)
・子ども食堂
・地域の多様な人たちの交流の場となる地域食堂
・弁当の宅配サービス
・地域食の継承活動としての場
・共同でできる加工場づくりと特産品づくり
・食に関するイベントの企画実施 等
■暮らしの技や知恵の活用や起業家などの多様な業種の拠点(案)
・手技芸の継承活動、生業づくり
・移住者や起業家のオフィスづくり
・コアワーキングスペース 等
地域の食の拠点となるレストラン事業は令和6年6月開始予定、技の伝承のための講習会の実施、市民農園の活動も実験的に開始しています。
地域の拠点となる空き校舎・教室を多様に活用しながら、地域との連携や情報発信業務は地道な取り組みですが、地域コミュニティに入り込み、縁をきづきながら、地域活動に意欲的な住民の方々と力を合わせながら構想の実現を進めていきます。一緒に地域で働きましょう。-
【パートナー】
〇認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク
平成16年に設立し、都市農村交流(グリーン・ツーリズム)を図りながら、地域づくりを行う団体。第3種旅行業の免許を有し、遠野のありのままの暮らしを旅することをキーポイントに地域住民 100名の協力のもと、各生活体験や農村民泊を推進し、年間10,000人ほどの交流人口を生み出している。東北地方や県内、遠野市内の地域づくりにも参画し、農水省やまちづくり団体などからの受賞歴多数。現在スタッフ13名(うち1名地域おこし協力隊)で観光施設の管理や都市農村交流、地域づくり事業を行っている。土淵町農村活性化協議会の事務局でもある。代表の菊池新一は、年間 100万人が立ち寄る道の駅遠野風の丘の立ち上げ、ショッピング施設再生、グリーン・ツーリズムと合宿免許の協働事業による廃業した自動車学校再生事業等に携わる。商工観光課長、地域経営課題対策本部長、産業振興部長、(社)遠野ふるさと公社事務局長等を歴任し、市役所退職後、同NPOにて遠野のまちづくりや東北地方の農泊実践地域のコンサルティングを行っている。東北経済産業局農商工連携伝道師や内閣府地域活性化伝道師、農林水産省ボランタリープランナー、岩手県グリーン・ツーリズム推進協議会会長等。
※WEBサイト http://www.tonotv.com/members/yamasatonet/
〇田村隆雅
(認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク チーフディレクター)
1980年東京都江戸川区出身。東洋大学社会学部でグリーン・ツーリズムを学ぶ。卒業後、2004年に遠野市に移住し、同NPO入社。現在は、事業計画や資金確保、コーディネート、ディレクションが主な業務。研修の受け入れも多数経験。大学生の研修事業や遠野の里山を体感できるマウンテンバイクツアーのガイドも実践している。農家民宿・レストラン等の開業を積極的に支援。地域住民が主役となる地域づくり事業など新たな取り組みの事業設計等の地域づくり事業に多数携わる。
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【求める人物】
・地域住民との交流を楽しみ、良好な人間関係を築ける方
・好奇心にあふれ、遠野の新たな魅力を発見し、地域文化の情報を発信できる方
・地域住民や関係団体と協働したイベント企画、実施役として活躍できる方
・継続的な運営体制を作っていくため起業家マインドをもって、自立できる方【ミッション / ロードマップ】
1年目:空き校舎の活用を実証しながら、活用方法や運営体制等の基盤づくりを行う
2年目:空き校舎の多様な活用の定着を図り、その運営や情報発信を行う
3年目:既存の地域組織と連携し、継続的な拠点運営や事業推進を担う組織化を目指す
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