遠野で日常的に使われている「お国言葉」をご紹介します。ぜひ声に出して、その響きのあたたかさを味わってみてください。
ますます傷だらけになった車だが、カッパ淵へのドライブが再開された
「あーあ、今日は最悪だよな」走りながら、窓を開けた
「なにいってんの、私だってチョー最悪じゃん、牛も子供も可愛かったけどね」
「おめ、べごごやさもへってきたのが?」、つまり「牛舎にも入ってきたのかい?」だ、
「うん、おっぱいおっきーの、あれ、ちょーうける!」
「なんだがくせどおもったら、じゃー!サンダル見てみなよ」足元を見て彼が言った
「なんか臭いと思ったんだ」だよ、
「ひゃー、きたなー!なんかついてる、取ってよ!」両足をバタつかせた
「べごのくそおみやげにもらってきたんだべ、がははは」牛のうんこをが付いてるらしいのだ
「笑い事じゃないわよ早くとってよ!」
「なんともね、いますこすでカッパ淵さつぐがら、そごであらっぺ!」
あと少しでカッパ淵に着くから、そこで洗えばいいよと、言っているのです。
「いますこす」の「いま」も良く使われるから覚えておこうね
「あとすこし」や「もうちょっと」の「もう」と「あと」が「いま」だから、ややっこしいね。
伝承園の駐車場にようやく着きました、相変わらずの人気で車もいっぱいです。
「べっこばりあるぐがら、ソフトクリームでもくいながらいぐべ」
遠野も夏は暑いのだ
「おいしー、あーしあわせ!」、「んだな、えがったえがった」
カッパ淵はすごい数の観光客だ
「ここにカッパいたの?本当?この小さな川に?うける」
遠野語より姉ちゃん達の言葉のほうが難しい・・・・・
「サンダル洗おっと、きゃー気持ちいい!」じゃぶじゃぶ川に入っていった
「きつけろよ、かっぱぬさらわれっちょ」
「気をつけなよ、カッパにさらわれてしまうぜ」と、注意しているのです、もちろんカッパがいるからです。
「きゃー、もったいない」バランスを崩しかけた彼女はソフトクリームを川に落としてしまった
「あはは、いだみったな、あはは」
「いだみった」は「もったいないことした」だね、
「んー、なにいってんのよ、いじわる!エイッ!」面白くない彼女はケンジに川の水をかけた
「なぬすんだ、やめろじゃおだずなよ」
「なにすんだよ、ふざけんなよ!」だね、この「おだず」もよく出てくるからね
「はっけー!わっ!」
「はっけ」は覚えているかな?「冷たー!」だよ
濡れた草がすべって彼まで川に落ちて転んでしまったのだ。
やっぱりカッパ淵はおっかねどごだった。
1955年遠野市生まれ、千葉県在住のガーデンデザイナー・グリーンコーディネーター。本業の傍らイラストレーターとしても活動、遠野のイラストマップ、双六、カルタなども旅の蔵にて販売している。
本業のガーデニングの本、農文協の「きんや先生の園芸教室・はじめての寄せ植え」や旅と思索社「二十世紀酒場1,2」などがある。