遠野で日常的に使われている「お国言葉」をご紹介します。ぜひ声に出して、その響きのあたたかさを味わってみてください。
講義にならなくなるので、彼女には車に戻っていただくことにしましょう。
「あーあ、つまんないわね、どっか面白いところに連れてってよ!」
「おもしゃぐねーがら、おもしぇどごさつれでげってごどだな?」「また始まった・・・」
「おもしぇ」は想像できるように「面白い」の意味になります
「よがんす、どごさいぐべな、かっぱぶづが?」
「いいね、いいね、何処でも行くよ、かっぱ淵でも行こうか?ん?」と、ご機嫌をとる彼なのであった。
「どこだって?んもう、どこでもいいよ!」
まあ、やさしいといえばやさしい、らしくないといえばらしくない、こんな男ばかりではない・・・・たぶん
静かなドライブであった
しかし、安心からか緊張がほどけ、昨晩の寝不足もたたって眠くなってきた
昨晩は「ばんげな」、眠くなってきたは「ねぷたぐなってきた・・・」と、表現したい
こっくりこっくりと、居眠りしてる人の目を覚まさせるときは
「こりゃ、ねぷかげすてねで、おぎろ!」と、大きな声で起こしてあげよう
「うあー、たまげだ!」と、彼はびっくりして、目が覚めたようだ、「えがったえがった」
ガタン!良くは無かった、側溝にタイヤが落ちていた
「あじゃーじゃじゃじゃ、ささってすまった、なじょすっぺ?」
この「じゃー」の連発を参考に、困ったときの「じゃ」頼み・・・是非マスターしよう
「ささった」は、タイヤが落ちた状態だ。「なじょすっぺ」は「どうしよう?」です
「どうすんのよ、このドジ!」彼女はまた、キレた。ふんだりけったりだ!
「んだがら、なんじょすっぺってらべよ、なじょぬもかじょぬも・・・」
「だからさー、どうしようかっていってんだよ、どうにもこうにも・・・どうしよう?」と、彼は言いたいのだ。
「レッカーでもたのみなさいよ」
「えー、ゆんべなぬ、すっかりつかってすまって、かねねんだがら、わがねべよ」涙声だ、「何?」
「昨日の晩にお金を全部つかってしまってさ、持ってないからだめなんだよ」と、彼はさらに言いたいのだ。
「アホか?よくそれで今日デートする気になったわね?」「まあ、なんとがなっかど・・・」
つまり「どうにかなんのかなってさ、思ったから」「・・・・・」
もちろんこういったいい加減な男ばかりでもない・・・・・遠野の男は・・・これは本当!たぶん
「んで、まだ、そのうづぬ、さいなら」
1955年遠野市生まれ、千葉県在住のガーデンデザイナー・グリーンコーディネーター。本業の傍らイラストレーターとしても活動、遠野のイラストマップ、双六、カルタなども旅の蔵にて販売している。
本業のガーデニングの本、農文協の「きんや先生の園芸教室・はじめての寄せ植え」や旅と思索社「二十世紀酒場1,2」などがある。