遠野で日常的に使われている「お国言葉」をご紹介します。ぜひ声に出して、その響きのあたたかさを味わってみてください。
まだ二日酔いが完治していないのに、昨日途中で別れた彼女からのケイタイが鳴った
「まじ?やべ!」 まあ、あやまるしかねーなぁ
数分間彼女の怒りを聞き流したが、さらに頭痛がひどくなったが、しかたがないので
「わる、ほんとにおもさげね、ドライブさでもいぐべ!」車で迎えに行った
なんとかご機嫌とらなくっちゃな、とりあえず道の駅に向かった
ジンギスカンの串焼きはおいしかった、「んめがった」である
食べ終わったので彼女に、「ごみはなげろよ」といったら
彼女は袋を丸めて彼に投げつけた「なぬすんだよ!」
「なに言ってんの、あんたが投げろって言ったじゃん」
「あのな、なげろったら、ゴミ箱に捨てろってことだべ」
「あー?捨てろだったら、最初から捨てろって言えばいいじゃん!」
「Tシャツに汁が付いて汚くなったじゃねーか、まよえよ!」
「はー?迷えって、運転手あんたジャン、なんであたしが迷うのよ!あほか!」
「あのな、まよえったら、えーと、なんだっけ、そーだ、弁償しろってことだ!」
「だったら最初から言え!やだよ!ばか!」
怒った彼女はひとり、道の駅を歩いて出て行ったのでした、そして本当に迷える子羊となったのです
ジンギスカンの恨みは恐ろしい・・・・・
捜し歩いた彼にまたケイタイがなり、再会したのだったが、都会の女は強いのだ
「なんで早く迎えに来ないのよ!まったく、遅い!どこいってたの?」逆切れだ!
「あっつこっつ」「はぁ?」、「そっつこっつよ!」「はぁー?」
「おめごそ、どごだりかごだり、ほっつぎまわてだんだべ?」
「・・・・・・」
まあ、簡単に訳すると、「あっちこっち探し回ったんだぜ、あまえこそ何処をふらふらしてきたんだよ」
と、彼は言いたいのだった、あー女はむずかしい!
遠野人が東京で無口になってしまうのも解るような気がしてきたのでありました
「ほでなっす」(けっしてバカと言ってるのではない・・・)
1955年遠野市生まれ、千葉県在住のガーデンデザイナー・グリーンコーディネーター。本業の傍らイラストレーターとしても活動、遠野のイラストマップ、双六、カルタなども旅の蔵にて販売している。
本業のガーデニングの本、農文協の「きんや先生の園芸教室・はじめての寄せ植え」や旅と思索社「二十世紀酒場1,2」などがある。